探究に必要な知識を養うベース制度がスタート
「360°キャリア探究」で未来を切り拓く成女の教育とは
成女高等学校

1899(明治32)年の創立以来、「社会で活躍できる自律・自立した女性の育成」を教育目標としてきた成女高等学校。その伝統を受け継ぎながらも、これからの時代に合う教育を実現する改革にも取り組んでいる。2020(令和2)年には「360°キャリア探究」を掲げた教育改革を実施。探究学習とキャリア教育を組み合わせた「自主研究ゼミ」がスタートした。2026年より、将来の進路を意識した「ベース制度」を導入。自主研究ゼミの土台となる知識を養う制度だ。その取り組みについて、小泉潤校長に話を聞いた。
―「360°キャリア探究」についてお聞かせください。
高校の3年間は将来の方向性を決める大切な時期です。これからどう生きていくのか、自分の将来について3年間かけて考えていくのが本校の「360°キャリア探究」です。大学名より学部・学科にこだわる進路指導をしているのは、自分の興味・関心や得意なことで未来を切り拓いて社会で活躍してほしいから。女性は結婚や子育てなどでキャリアが中断することもありますが、その点もしっかり考えながら、本校で得意なことや好きなことを見つけて伸ばし、将来につなげてほしいと思います。
―今年からスタートしたベース制度について教えてください。
ベース制度は、将来の進路を意識しながら、探究の土台となる知識を養う制度です。人文科学・芸術・社会科学・家政科学・サイエンスの5つのベースを設置。各ベースに合った多彩な自由選択科目を用意しています。各分野に特化したカリキュラムがあるコース制より柔軟に学ぶことができ、横断的な分野も学習しやすいシステムです。
探究を進める中で、生徒たちの興味や関心が変わっていくこともあります。本校はゼミを1年毎に変更できますが、関連付ける科目を変更しやすいのもベース制度の特色です。他のベースの生徒と一緒に受ける授業もあり、多様な考え方に触れながら、一人ひとりに合った学力を身につけています。
―学校生活のすべてがキャリア教育につながっています。
「学力・探究」「表現教育」「リーダー教育」を三本柱に、教科学習と自主研究ゼミ、外部との特色ある活動を連動させたキャリア教育を実現しています。
「学力・探究」の中心にあるのが、探究学習を進める自主研究ゼミです。大学の学部・学科を意識し、各ベースと連動した5つのゼミを設置。目指す学部・学科を視野に入れながら将来の見通しを立てていきます。
1年次の前半で問いの立て方や研究の仕方、データのとり方など、探究学習のための基礎知識を養います。1年次の後半は仮ゼミに所属。大学と連携しながらグループで一つの研究を進めて、研究に必要な知識や技術を学びます。
2年次から自主研究ゼミがスタート。各ゼミに所属して個人研究を進めていきます。大学や企業と連携するゼミもあり、ハイレベルな探究学習に取り組んでいます。
―表現教育やリーダー教育についてお聞かせください。
探究学習の成果を他の人に伝えるために、自己表現力を伸ばしていくのが表現教育です。一人ひとりの個性や志向に合わせて、ボイス・トーク・エッセイ・ヴォーカル・デザイン・フォトの6種類のクラスを設置。専門家を招いて、表現の仕方や伝わる文章の書き方、発表の態度、声の出し方などについて学びます。
自主研究ゼミや表現教育だけでは、研究内容を一方的に伝えるだけになりますが、リーダー教育を加えることで双方向型の力を磨くことができます。本校が目指すリーダーとは、一人が集団を率いる形ではなく、自分の意見を持って相手と話し合い、それぞれの意見を尊重しながら目標に向かって行動していく人です。そうした力を養うために、専門家の指導のもと体系的な授業を用意。学校行事や部活動などで実践しています。
―教育の成果についてお聞かせください。
探究学習や表現教育、リーダー教育の成果を発表する機会が夏休み前の研究構想発表会、秋の中間報告会、2月のパフォーマンスフェスティバルの年3回あります。内容はもちろん、発表する態度も良く、教育の成果が確実に出ていると感じています。
最近は外部のコンテストや発表会に挑戦する生徒が増えており、様々な賞を受賞しています。探究学習の中には、スキンケアや生理痛の研究など、女性ならではのテーマもあります。女子だけの環境だからこそ、本当に興味があるテーマを探究できるのだと思います。生理痛を和らげる研究については今年、神奈川新聞賞にも選ばれました。
成果は大学進学にも表れています。約6割が総合型選抜や学校推薦型選抜で大学に入学する今の時代、本校もほとんどの生徒が一般選抜以外の入試で進学しています。総合型・学校推薦型の進学決定率は3年連続で100%。これらの入試で最も大切なのがプレゼンテーションです。「高校時代に何をしてきたのか」「どうしてこの大学に入りたいのか」「大学で何をしたいのか」「大学を卒業した後どう生きていくのか」を伝える必要がありますが、本校の生徒は3年間の探究学習を通して準備を進めています。それが、大学進学実績に結びついています。
また、最近は自治活動に積極的な生徒が増えています。校則の見直しや、リュックサックの導入なども、生徒たちが実行しました。
学校説明会も生徒が運営しています。説明会に主体的に関わることで学校の魅力に気づき、自分自身への自信を高めていく。そんな相乗効果もあるようです。
―校舎のリニューアルが進んでいます。
27年4月に校舎と体育館がリニューアルオープンします。新校舎はレンガ調で、海外の大学をイメージしたアカデミックな雰囲気です。校内にはラーニングセンターを設置し、DXハイスクールにふさわしい多彩なICT設備を整備。キャリア教育や探究学習に集中できる最先端の環境が実現します。校舎の前にはイングリッシュガーデンも設置します。四季折々の花が咲く、開放的な庭になると思います。
―受験生に向けてメッセージをお願いします。
高校の3年間は大切な時期です。本校は学校生活のすべてがキャリア教育につながっているため、大学入試を含め将来に向けてしっかり準備ができます。主体的に取り組む活動の一つひとつが、将来を切り拓いていくので、さまざまなことに積極的に取り組んでほしいです。
取材日:2026.9.24
