医学部合格者を着実に増やし年々実績がアップ
「心の教育」を土台に高い志を持った医師の育成を目指す「医学クラス」

埼玉栄中学・高等学校

中高一貫のきめ細かな指導体制で主体的に学ぶ姿勢を養い社会に貢献できる人材を育てる

埼玉栄中学校では、中学入学時から将来に向けた目標を意識し、実力を伸ばしていくことができるように「医学クラス」「難関大クラス」「進学クラス」の3つのクラスが設置されている。2016年度に新設された医学クラスは、数年間で医学部受験のノウハウを蓄積し、継続して医学部合格者を輩出。4期生は初の国公立大医学部の現役合格者を出し、今年3月に卒業した5期生も現役で国公立大学に合格している。今春は医学部合格者が全体で10名となった。「学力だけでは合格できない」と言われる独自性の高い医学部受験。着実に合格実績を伸ばす同校ではどのような取り組みをしているのか。医学クラスを担当する宇野翔吾先生に話をうかがった。


―まずは医学クラスを設立した経緯を教えてください。

医学クラスを立ち上げたのは2016年ですが、その少し前から進路志望のアンケート等で「将来は医師になりたい」という生徒の声が届くようになりました。学校としてそうした生徒の夢をバックアップしていきたいという思いがあり、医学部合格を目指す専門のクラスを新設しました。

―カリキュラムなど医学クラスの特色を教えてください。

定員20名の少人数クラスで、中高6年間を通してきめ細かな指導ができる体制を整えています。担任も基本的に6年間持ち上がり制で、難関大クラスと同じ授業に加え、医学クラス専用の特別授業やプログラムも用意しています。例えば、医学部受験専門予備校「池袋理数セミナー」の放課後講座では、中1から週2〜3回、独自カリキュラムで6年間学ぶことができます。また、中学生は毎年、大学の医学部を見学する校外学習を実施。高校生になると、「医学探究」という授業がスタートします。医学の知識やスキル、医療リテラシーを学びながら、医療問題のリサーチや医学部受験向けの小論文にも取り組みます。さらに、医学部教授による出前授業も実施しており、昨年は高2で山梨大学医学部の教授を迎え、ブタの心臓を使った切開・縫合など、実際の手術技術を体験しました。このほか、年度によって異なりますが、医療関係者を招いた講演会や病院への見学実習なども行っています。

学年の担任に裁量が任されている部分が多いため、授業のやり方なども「今、生徒に必要なこと」を常に考えて柔軟に対応している点も、医学クラスの特色です。

宇野 翔吾先生

出題傾向を踏まえた綿密な対策が鍵

―医学部受験には具体的にはどのような難しさがありますか?

大前提として筆記試験の難しさがありますが、学力だけでは合格できないのが医学部受験の難しさです。まず大学ごとに出題傾向が大きく異なるため、情報収集と受験校選びが重要になります。2次試験では必ず面接試験があり、小論文が課される場合も多いため、その対策も必要になります。

―そうした難易度の高い受験に向けて、医学クラスで学ぶ強みはどのような点にありますか?

中学から医学部受験に向けて着実に積み重ねた学力は強みです。

小論文対策については、医学探究で本格的に取り組みますが、全校生徒が中学生から学級日誌に「R80」*という手法を用いて文章力を高めています。加えて、医学クラスでは授業以外でも医療関係のニュースなど小論文のテーマになるような話題が自然と生徒の間で話し合われたりしています。

面接指導は、担任が生徒と日ごろから深く接しているので性格に応じたアドバイスができます。何より、本校の「心の教育」を通じて育まれる豊かな人間性や高い倫理観は、医学部受験の面接でまさに問われる資質です。実際に、合格した生徒から「面接で姿勢がよいと褒められた」という報告があり、日々の学校生活での積み重ねが面接にもしっかり表れていると感じています。

*R80(アールエイティー)
「2文構成で、80字以内で書く」「2文目の最初に必ず接続詞を使う」の2つのルールを用いることで、自分の考えを論理的に記述する手法。

勉強もスポーツも土台にあるのは「心の教育」

―医学クラスの教育の中で、大切にされていることは何ですか?

医学クラスに限らず、本校では心の教育を大切にしています。運動部の活躍で「埼玉栄」の名前を知っている方も多いと思いますが、運動部の指導者も技術や戦略を教えるのではなく、まずは挨拶や礼儀を通してスポーツマンとしての心をつくってきました。スポーツも勉強も極めるための姿勢は同じで、高い志を持って目指す道へと進んでいます。

―今後の医学クラスのビジョンについて教えてください。

約10年間かけて蓄積した医学部受験のノウハウをもとに教員のスキルアップをはかっていきます。若い先生にも医学クラスの担任に入ってきてもらい、カリキュラムや指導法もブラッシュアップを目指します。大学の医学部との連携も深めていきたいと考えています。少人数制のクラスなので合格者数を大幅に増やすというよりは、一人ひとりが着実に合格を勝ち取れるように力を尽くしたいです。

―最後に医師を目指す受験生とその保護者へのメッセージをお願いします。

本校は生徒を育てる力に自信があります。小学校では成績が伸び悩んでいた生徒が、入学後に一気に伸びるケースがあります。ですから、医師になりたいお子さんは、中学受験時点の成績で諦めてしまわないでください。夢を叶えるために、本校の医学クラスで一緒に頑張りましょう。

取材日:2026.5.27