多彩なプログラムで将来の姿を具体的に
思い描き生徒の主体的な自己決定を後押しする國學院の進路サポート
國學院高等学校

國學院高等学校は、都内では数少ない私立の高校単独校だ。明治15年創設の皇典講究所を起源とする國學院大學の付属校でもある。1学年約600人の多様な生徒が集まる大規模校だが、生徒一人ひとりへのきめ細かな支援体制があるのが魅力だ。また、大学付属校でありながら進学校としての顔をもち、難関私立大学を中心に他大学への進学実績も安定している。同校の進路指導について、進路指導部部長の田邉優也先生と副部長の小西智也先生に話を聞いた。
國學院高等学校は、國學院大學の付属校として人気がある一方で、多くの生徒が難関大学を受験する進学校でもある。例年、國學院大學への内部進学率は約15%だ。他大学を志望する場合は、一般選抜のほか、総合型選抜や指定校制を含めた学校推薦型選抜など、幅広い選択肢がある。同校の進路指導方針について、進路指導部部長の田邉優也先生がこう話す。
「進路選択は、生徒が主体的に行きたいと思える大学を見つけることが大切です。生徒は心からやりたいと思ったことであれば、いかんなく力を発揮することができるからです。進路指導を通して、やりたいことと進学先のミスマッチを防ぐのが、我々教員の役割です」
2年次からは、文系・理系・ソフトサイエンスコースに分かれる。文系には希望者を対象に、一般選抜で難関大学進学を目指す「チャレンジクラス」を設置。同クラスは3年進級時のクラス替えや担任変更がない。同じ仲間と全力で学校生活を送る中で絆を深め、受験勉強への活力にしている。
進路の幅を広げる高大連携と一人ひとりに向き合う面談体制
生徒の多様な進路を実現するために、様々な取り組みを行っている。例えば、生徒が作成したオープンキャンパスレポートや学問分野の調査レポートを廊下に掲示。個性豊かな生徒がいる環境を生かして、大学についての幅広い情報を共有している。
また、1・2年生を中心に、國學院大學や東京理科大学で希望者対象の高大連携授業を実施している。高校では習わないハイレベルな学びを体験することで、日々の勉強のモチベーションを高めている。昨年度からは1年生必修の大学模擬授業もスタート。20以上の大学による約30講座の中から、希望の学部・学科の授業を2コマ選択する。田邉先生がこう話す。
「國學院大學にはない理系学部を含めて、多様な学問分野に触れることで進路選択の幅を広げています。自分の興味・関心を知り、主体的に大学や学部・学科を調べるきっかけにしてほしいと思います。その後の進路相談は模擬授業の話題で持ちきりとなり、生徒への影響力を実感しました」
生徒一人ひとりをきめ細かくサポートする体制も整えている。担任による面談の機会を数多く設定。特徴的なものが、全学年の各学期に実施される「面談週間」だ。4月は担任との顔合わせ、10月は進路相談、1月は当該年度の総括と、各回で目的が異なり、一人ひとりを手厚く指導している。保護者を加えた三者面談では、生徒が自分の言葉で進路を語る。自分の考えを整理し、保護者の理解を深める機会になっている。進路指導部副部長の小西智也先生がこう説明する。
「面談は自分のありのままの思いを言語化する場です。面談を繰り返し、様々な話をすることで、生徒が相談しやすい雰囲気が生まれています。生徒の将来の自立を見据えて、教員はどこまで見守り、どこまで教えるべきか、距離感を意識しながら向き合っています」
仲間と切磋琢磨し自走する力を育む勉強合宿
3年の夏休み開始時に行われる3泊4日の勉強合宿は、例年約100人の参加希望者が集まる恒例イベントだ。文系は国語・社会・英語、理系は数学・理科・英語の授業に加えて、豊富な自習時間を確保。自習中はいつでも教員に質問できる。生徒と教員の信頼関係の強さも参加者が多い理由の一つだという。小西先生がこう話す。
「合宿の目的は、夏の受験勉強のスタートダッシュとペースメイクです。合宿を終えた生徒は晴れやかな様子で、早速次の学習計画を立てる光景が見られます。友人の頑張る姿を間近で見ながら励まし合い、長時間勉強をやり切った経験が、合宿後の勉強を支えてくれます」
外部講師と連携して実力を養成する取り組みもある。1・2年の長期休暇には、「英検講習」が必修だ。1年冬〜2年の各学期末に行う「全員講習」では、短期間で集中的に国語と数学を学ぶ。2年冬以降の長期休暇には、大学入学共通テストや一般選抜の個別試験に特化した入試対策講座「アラカルト講習(希望者対象)」を用意している。さらに、放課後の「各種選択授業」として、国公立大学受験に必要な科目を開講。同じ目標をもつ生徒同士が支え合う場としても機能している。
先輩のリアルな受験体験談が生徒のこころを動かす
1・2年生対象の「卒業生合格体験談」も重要な進路行事だ。卒業直後の複数の先輩から、失敗談も含めたリアルな体験談を聞くことで、自分の将来をイメージしやすくなる。また、卒業生から学校の教育に対する意見を聞くこともあり、教員も多くの学びを得ている。小西先生が言う。
「同じ環境で学んだ身近な先輩の成長した姿や説得力のある言葉が、『自分にもできる』という前向きな気持ちを生み、受験への意識や行動を大きく変えています。受験は、自分の夢や憧れのためだけに勉強に打ち込める貴重な機会です。不安と向き合いながら挑戦する中で、自信をつけてほしいと思います。将来答えのない問いに出会ったとき、この経験が自分を支える糧となるはずです」
多彩なプログラムを通して、生徒たちは自ら進路を切り拓いている。最後に、田邉先生がこう語る。
「本校は誰一人見捨てず、生徒の思いを尊重する学校です。『全員が笑って卒業する』を合言葉にしていますが、それは『いい大学』への進学だけを意味するものではありません。失敗しても諦めずに努力し、悔いの残らない進路選択をしてほしいと思います」
取材日:2026.9.3
