先輩から後輩へとつながるバトン。共に助け合い
高め合いながら成長できる、麗澤の寮教育
麗澤中学・高等学校

麗澤中学・高等学校は、前身である道徳科学専攻塾が全寮制のイギリスのパブリックスクールをモデルに設立されたことから、現在も高校生が入寮できる「麗寮」を運営する。同校の教育理念である「知徳一体」の人間教育を実践する場となっている。男子寮主任の田邊時久先生と女子寮担任の生方彩香先生、また、元寮生で現在寮務助手を務める大野正悟さん(早稲田大学3年生)と柳田真希さん(東洋大学2年生)の4名に、麗寮の魅力や寮生活を通した生徒の成長について話を聞いた。
―まずは、麗寮の理念や日々の取り組みについて教えてください。
田邊 創立時からの理念は、自分中心の考え方を克服し、他者に対する思いやりの心を育てることです。そのために寮生自身が寮を運営し、共に助け合い、学び合いながら成長できる環境を大切にしています。
生方 麗寮では複数学年の生徒が同じ部屋で生活しています。日々の生活の中で上級生が下級生を助け、下級生は上級生の姿を見て学び、自分が上級生になった時には下級生の面倒をみます。寮全体をまとめるのは、寮生の中から選ばれた寮長と副寮長です。また、新入生歓迎会や学期末の帰省パーティーも係の寮生が企画・運営を担っています。
―担任として携わる際に、どのようなことを大切にしていますか。
生方 寮生の自主性を重んじ、一歩引いて見守ることです。問題が生じた際に、まずは寮生たちで解決に向けて取り組んでもらいます。つい先回りして声をかけたくなることもありますが、寮生が自分たちで考えて行動する機会を大切にしています。
田邊 声をかける場合も、私たちが直ちに介入するのではなく、まず寮長や副寮長といった寮役員に声をかけて、役員が寮全体を働きかけていくようにしています。また、大野さんや柳田さんといった寮務助手にフォローに入ってもらうこともあります。
―寮務助手はどのような仕事をしていますか。
大野 寮担任の先生方と寮生の間をつなぐ役割です。具体的には寮長から点呼など報告を受けたり、先生方からの連絡事項を寮生に伝えたりといった仕事があります。ただ、一番はやはり寮生からの相談に応じることだと思います。年齢が近いこともあり、寮内のことに限らず、人間関係の悩みや進路についてなど、さまざまな相談を受けます。
柳田 大学生活について質問されることもよくあります。また、寮には自習時間があるので、勉強でわからないことを質問されることも多いですね。
田邊 寮務助手は基本的に寮を出た大学生にお願いしているため、寮生活時代の先輩・後輩のつながりもあって、寮生にとても慕われています。価値観なども寮生に近いですから、寮生にとってもなんでも相談しやすく、心強い存在だと思います。
寮生活だからこそ人間として大きく成長できる
―大野さんと柳田さんは元寮生ということですが、入寮したきっかけについて教えてください。
大野 両親が麗澤の卒業生で寮にも入っていたことから、寮生活を経験しておくとよいと勧められました。そのため、高校受験の際には寮に入ることを考えて麗澤を選びました。
柳田 中3の時に参加した3泊4日の寮体験で、規律を守って生活する上級生の姿がとてもかっこよく、また友達と学校以外でもずっと一緒にいられることが楽しそうで、自分も寮で暮らしてみたいと考えました。
―寮生活を通して、自分が成長できたと感じることはありますか?
大野 やはり自立と自律の精神が身についたと思います。実家では身の回りのことは親任せでしたが、寮では自分で管理する必要があります。高1の夏休みに実家に帰った時は、自然と食器の片付けや部屋の掃除をやっていて親に喜ばれましたが、考えてみれば自分のことを自分でやるのは当然で、今まで甘えていたのだと気づきました。
柳田 人間関係の築き方を学ぶことができました。実は寮生活をしている時に寮生の友達と大きな喧嘩をしてしまったんです。今まで私は友達とは仲が悪くならないよう、揉め事を避けていました。けれど、寮生活では関わらないという選択ができません。覚悟を決めてお互い言いたいことを言い合うことで、新しい関係を構築できました。相手が大事だからこそぶつかり合ってやり直すという人間関係の築き方を学べたことが、私にとって大きな成長でした。
―寮担任の立場からは、寮生の成長をどのように感じますか。
田邊 私は事務なども含めて9年間寮に携わっていますが、高1で入ってきた時は右も左もわからず、先輩から何もかも教えてもらう立場だった寮生が、1年後には後輩を教える立場になる成長ぶりには毎年感動しています。高1の頃の悩みは自分のことなのですが、学年が上がると仲間のことで悩み、解決のために動けるようになっていきます。自分中心の考えを克服して他者のための思いやりの心を育てるという、寮の理念そのものの行動が自然とできるようになっているんです。
生方 自分が大切にする範囲が広がっているように感じます。最初は自分のことで精一杯ですが、次第に同じ部屋の仲間である下級生のことを気に掛け、さらには寮全体のことを考えられるようになっていきます。すごい成長だと思います。
先輩から後輩へ麗寮の良さを伝えていく
―大野さんと柳田さんが寮務助手をやろうと思ったのはなぜですか。また、助手の仕事のやりがいなどがあれば教えてください。
大野 私は寮に育ててもらったと思っているので、助手のお話をもらった時に、ぜひ恩返しをしたいと思って引き受けました。自分が先輩から学んだことが、ちゃんと引き継いでいけているかも知りたかったですね。
柳田 寮生の時に関わっていた下級生を卒業まで見守りたいと思い引き受けました。人間関係の悩みなど、すぐに良いアドバイスができないこともありますが、自分も一緒に悩み、考えています。サポートというよりも、寮生の輪に入れてもらって、私も一緒に成長させてもらっています。
―最後に受験生へのメッセージをお願いします。
田邊 麗寮は決して「しつけ」をする場ではなく、自ら成長をしていく場です。同世代の仲間と共に、自分を磨き、高めていきたいという意欲がある生徒にぜひ入寮してほしいですね。セルフマネジメントが求められる時代ですから、寮生活で養われる「対人関係力」「自己管理力」、そして「自学自習の習慣」などは、将来にわたる貴重な財産となります。
生方 「自分を変えたい」という思いがある生徒には、挑戦する機会がたくさんあります。家族と仲良しで離れたくないと思う人ほど、一度親元を離れることで、見えてくるものや気づくものがたくさんあるので、勧めたいですね。
柳田 卒業してから助手として麗澤に戻ってきて思うのは、麗澤は本当にあたたかい学校だということです。また、寮生活では、多くの人と関わることで、自分という人間を深く知ることができました。ぜひ麗寮でたくさんの得難い経験を重ねてください。
大野 麗澤は学校生活の中でも学び成長する機会がとても多い学校だと思います。寮ではさらに寮独自のイベントもあり本当に濃密な3年間を過ごすことができます。成長したい人やたくさんの思い出をつくりたい人に勧めたいです。
取材日:2026.7.30
