英語力と、人の気持ちに寄り添う
コミュニケーション力を養う英語ディベート同好会

獨協中学・高等学校

英語ディベートとは、一つの論題に対して賛成派と反対派の二つのチームに分かれ、第三者を説得するために、それぞれのチームが意見を主張していく取り組みだ。今年から本格的にスタートした獨協の英語ディベート同好会では、中1から高3までの英語に興味がある生徒が集まり、切磋琢磨している。来年度には同好会から部への昇格を目指している。その活動について、顧問の英語科教諭・藤田麻友美先生に話を聞いた。


英語ディベート同好会の創設のきっかけは6年前。語学指導などを行う外国青年招致事業「JETプログラム」で来日しているネイティブ教員と、昼食をとりながら英語で交流するテーブルトークを開催した時だ。生徒からもっと英語に触れる機会が欲しいと声が上がったことから始まった。

学生時代に英語ディベートの活動をしていた英語科の藤田麻友美先生も、日本で英語を学ぶには、アウトプットをする機会が圧倒的に足りないと感じていた。そこで、英語ディベートをその機会にしてほしいと、英語に興味がある生徒に声をかけて活動がスタート。3年前には有志の団体として、世界大会にも出場した。そうした活動が認められ、昨年から校内の公認団体に。そして今年、同好会に昇格した。

現在、同好会には中1から高3まで45人が所属している。運動部と兼部している生徒が多いため、活動は週1回だ。

同好会のメンバーは学年が多岐にわたるため、英語力に差がある。そこで、中学生は自分の考えを英語で表現していくスピーチコンテストを、高校生は英語ディベートを柱に、それぞれの成長段階に応じた活動を行っている。顧問の藤田先生が言う。

「英語力の差を埋めるために、上級生が習うような文法を中1に教えると、彼らにとっては活動自体が補習や講習と同じになってしまいます。ですから、あえて英語力を高めるような指導はしません。ただ、高校に入り、ディベートで自分の意見を言うためには英検2級程度の英語力は最低限、必要なところです。そのための講習はしませんが、先輩に教わったり、自分たちで英語力をブラッシュアップしています」

それぞれが年に数回実施される大会に向けて、練習を重ねている。藤田先生がこう続ける。

「生徒同士、意見を出しながら行動してもらいたいと考えているので、教員が指示することはあまりありません。メンバーは前向きな姿勢で、自分たちがやるべきことを考えながら活動しています。授業で英語ディベートを行うこともあるのですが、同好会の生徒が他の生徒をフォローすることもあり、すごく頼もしいです」(藤田先生)

同好会では、与えられた論題に対して各自が意見を出して話し合うなど、学年ごとに試合形式で練習する。活動にはネイティブの教員が常駐。藤田先生とともに練習試合のジャッジや講評を行う。ほとんどのメンバーが、授業での学びと同好会の活動の相乗効果で、英語力がアップしている実感があるという。活動を通して得られるものについて、藤田先生がこう話す。

「ディベートでは、相手が何を思って発言しているのか、アンテナを張って考えていくことが大切です。試合で、相手を論破して打ち負かそうとしがちですが、そうすると絶対に勝てません。相手の言ったことを受け止め、寄り添い、その上で自分はこう思うという姿勢で臨むことで、初めて勝つことができる。その姿勢を養ってほしいと思います」

英語ディベートの大会が掲げている、『マナーよりマター』というスローガンがある。マナーは英語の流暢さを指し、マターは話す内容を指す。それがジャッジの基準にもなる。藤田先生が言う。

「いずれ、AIや翻訳機が進歩すれば、英語力のマナーについては人間よりも機械が勝る時代がやってきます。しかし、マターは人のイマジネーションにかかわる、人にしかできない部分です。AIが出す最適解は予測値でしかないですが、予測から外れた答えを出せるのが人間です。ディベートを通して、『マナーよりマター』を尊重し、相手を思いやれる人になってほしい。同好会の活動をどんどん充実させていき、生徒が大人になったときに帰ってくる場所の一つにしたいです」

同好会の大塚 碧さん(高1)、池田 司さん(高2)、部長・高橋 悠斗さん(高2)、加瀬 駿介さん(中3)の4人に話を聞きました。

―活動を通して気づいたことや、楽しいこと、努力していることについて教えてください。

高橋 試合に勝てたときは楽しいですし、負けても、自分にはなかった意見を相手から聞いたときは新鮮な驚きがあり、学びがあります。普段の生活でも、自分とは異なる意見の人に対して、決めつけることはせずに柔軟に接することが自然とできるようになりました。また、英会話はあまり得意ではなかったのですが、授業で学んだことをディベートで生かすために自分自身で学ぶ機会が増えました。

池田 人前で英語を話すことに苦手意識がなくなり、試合でも自分の言いたいことが英語できちんと言えるようになりました。他の人に自分の思いが伝わるように努力していることが、自分の能力の向上にもつながっているのだと思います。また、ディベートの活動を通して、社会問題にも関心を持つようになりました。

大塚 ディベートでは単語力が必要だなと感じます。僕は単語力があまりなかったので、単語を覚えることを心がけました。同じ意味の単語でも、ときと場合によってニュアンスが異なる単語もあり、その表現の豊かさに気づくことができました。

加瀬 中3なので、ディベートではなく、スピーチコンテストに挑戦しています。ネイティブの先生の真似をしながら発音の練習をしていて、一歩ずつ理想に近づけている感じが楽しいです。高校に入るとディベートに参加することになるので、授業で学んだことを同好会で生かせるように、語彙力をつけて、コミュニケーション能力も高めていきたいと思います。

―受験生に向けてメッセージをください。

高橋 獨協は生徒同士、仲がいいですし、先生との距離も近く、長所も短所も活かしながら、のびのびと過ごせる環境があります。

池田 同好会に入ると、英語を話すことが好きになります。そして、いろんな文化を持つ人とコミュニケーションをとることが楽になります。ディベートを通して、自分の考えに自信を持つことができるようになるので、ぜひ入部してほしいです。

大塚 もともと語学が好きで、ドイツ語の授業も選択していますが、獨協は個人の能力を伸ばす機会を与えてくれます。獨協に入ってからは、みんなに気力をもらって自分に自信が持てるようになりました。

加瀬 英語が苦手な人にも、先輩やネイティブの先生がわかりやすく、一人ひとりに教えてくれます。英語が苦手な人こそ、英語ディベート同好会に入部してほしいです。

取材日:2021.7.23